夏目友人帳だけではない、緑川ゆき作品の魅力①
こんにちはnatsuzoooです。
突然ですが緑川ゆきという漫画家をご存知でしょうか。
彼女の代表作と言えば、2017年4月にアニメ化された「夏目友人帳」が有名ですが
私はそれよりも前に発刊された「アツイヒビ」「赤く咲く声」「蛍火の杜へ」の方が思い入れありまして、
夏目友人帳がアニメになるのに何故これらがアニメ化しないのか!!?と人知れず憤慨しておりましたが「蛍火の杜へ」はその後、映画化となりまして
ふぅん…、わかってるじゃん…?(ありがとうございますううううううう)
という気持ちでした。
今回はそんな愛してやまない緑川ゆきワールドを熱く語りたいと思います。
蛍火の杜へ
私が初めて読んだ緑川先生の漫画は「蛍火の杜へ」でした。
当時はスマートフォンや携帯電話も普及していませんから、夏休みの学生の暇つぶしと言ったらとんでもなく分厚い特別号の漫画雑誌でした。
これ人に投げたら首折れるんじゃないかっていう。
そんなとんでもなく分厚いLaLa特別号で出会った作品です。
繊細で、美しくて、ラストシーンは読んでいて涙が止まらなくなりました。
ストーリーとしてはけっして奇をてらっているとかではなく、妖怪であるギンという青年と少女・蛍の成長を丁寧に描いています。
語弊があるかもしれませんが、緑川先生の描く線ってすごく曖昧なんですよね。
触ったら崩れてしまいそうな脆く美しい世界を魅せてくれます。
アツイヒビ
すっかり緑川ゆきファンになってしまった私が次に読んだのが「アツイヒビ」という短編集です。
もうこの表紙の池田くんが儚げで良い…!
私が特に胸を打たれたのが「花の跡」という短編です。
もう…!もう……!
先に断っておきますと、緑川先生の作品ではキャピキャピとした男女の恋愛模様というよりは、もっと骨太な人間愛のようなものが描かれていると私は思ってます。
「花の跡」も恋愛ものなのですが、定番ラブコメが大好きなウチの姉は「よくわからなかった」と言っていました。
この作品のよさが分からないなんてね!かわいそう!!
物語は何気ない学校生活の、何気ない机の落書きから始まります。
ある日、菊池という女子生徒の机に身に覚えのない花の落書きが。なにかの嫌がらせなのか、メッセージなのかと不審に思い、友人に相談する菊池でしたが、落書きをした人物の正体は同じ高校の全日制に通う倉田という男子生徒でした。
つまり2人は同じ机を昼と夜で共有していたんですね。
もうこの辺からドキドキが止まらないんですけど、どうしよう。
倉田は美術の才能を持っており、中学生の頃、その作品に惚れ込んだ画家から指導を受けていました。
しかし何かの問題で絵を描けない状況に陥ってしまったようです。
全体を通して切なく胸が締め付けられるような儚さがあります。
菊池の心理描写に好きな部分がありまして、
日が落ちる 夜が来る
闇はあの人にやさしいだろうか
きっと今日もあの人は
小さな 小さな 闇のなか。
あの人に 出口を見つけてあげたかった
そして私はこう思う。
もういいから何も言わず読んでくれよ、と。
長くなりすぎたので②に続きます。